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が、妄想と戯言と言い訳しかないです。
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翼井

 君に選ばせるつもりはないのだと狐は言う。
 そんなことはどうでもいいのだと狼は返す。
「俺は山もお前も手放さん」
 解っているくせにわざと白を切ろうとする――狐の言うことなど、狼には関係がない。
 だから只管に否定する。さも当然だとでも言うように。
 案の定、狐は苦く笑った。
「君はいつからそんなに傲慢になったのだ」
「話を逸らすな」
「逸らしてなど――」
「理屈はいらん」
 言葉を遮り、腕を掴んで押し倒す。 
 解らないと誤魔化すならば、狐の面ごと剥がしてやるまでだ。
「答えは解りきっとるやないか。考えても無駄や」
「……問題は答えじゃない。それに至る経緯なのだ」
「道筋を自分で選べるとでも思っとるんか? お前はいつからそないに傲慢になったんや」
 引き上げた口元から八重歯が覗く。 
 狼は狐の首筋に顔を埋めると、白い肌に歯を立てた。じわりと滲んだ鮮血を舌先で舐め取る。
「……いつまでも子供やと思うな」 
 まるで脅迫のようだと狼は思った。そんなつもりは――ないとは言わないけれど。
 狐の面がはらりと舞い落ちる。
 紅い瞳が狼を射ったあと、僅かに和らいだ。
 ――こいつ。 
 余裕綽々とでも言うんか。
「年上として、意地くらい張らせて欲しいのだが」
「……上なら下に譲れや」
「いつまでも子供じゃないのだろう」
「ああ、せやったな。解った。解った解った。俺たちは同等の大人や。せやから――」
 お前の意地なんぞ知らん。俺が粉砕したる。
 獲物を捉えた狼が鳶色の目を光らせる。
 狐は笑った。
「出来るものなら」
 
 

======= 




まあつまり井宿は理屈つけて逃げてるけど、要は翼宿にべったり甘えたり填まっちゃったりするのが嫌というか怖いだけなんと違うか。(おい)
翼宿は薄々それに気づいていて言外に「もしそうなったとしても大丈夫だから、お前は壊れないから、だから安心しろ、俺がついているから」と言っている…んだとしたら萌えるよね、という話でした。
で、井宿も翼宿の言外のそれには薄々気づいていて、年下にここまで言わせてる自分ってなんなんだろうとか、こんなに手を伸ばしてくれているのに誤魔化してその手を跳ね除けるなんて自分の方が子供っぽいと思うけどでも心情的にはとてもじゃないかまだその手を掴むことなんてオイラにはできないのであって(ryとか思って、結局態度保留のまま逃げ続ける&無限ループという面倒な仕様だとなお萌える。
翼宿は諦めないので、そのうち井宿が音を上げると思いますが。

そんな感じでたまにSS書けたらいいなーと思いつつ…。

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